茶箪笥の奥

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ひとくちアニメ紹介004.宝島

ティーヴンソン原作の児童文学・宝島を原作とするテレビアニメ。
監督・出崎統、キャラデザ及び作画監督杉野昭夫。全26話。

とある港町。母親と2人で宿屋・ベンボー亭を営む少年・ジム・ホーキンズが主人公。ある日、宿屋に転がりこんだ海賊・ビリー・ボーンズが持っていた宝島の地図をジムが発見するところから冒険が始まる。

この作品、ジムを取り巻く大人たちがとにかく魅力的に描かれている。
ジムに夢を与えたビリー・ボーンズをはじめ、息子を送り出す母親、絵に描いたような英国紳士のリブシー先生、俗物だが人の良いトレローニ、一見杓子定規だが機転も利くスモレット船長、無口だが情に熱いグレー。そして、ジムが憧れる裏主人公、海賊のジョン・シルバーである。

シルバーは悪党である。自分の欲望に忠実で大胆不敵。必要とあらば平気で嘘をつくし、裏切る。優しさと厳しさ、強い信念と肉体を兼ね備え、一貫性があり、切れ者で弁が立つ。CV.若山弦蔵の渋い演技。この魅力を言葉で伝えるのは難しい。
この一面的でない人物描写があるからこそ、中盤以降のジムの葛藤、それを経た精神的な成長にも説得力が生まれる。
最終話では原作にはない後日談が描かれ、ジムとシルバーが再開を果たす。26話をかけて示された二人の関係性の蓄積が……本当に効いてくる見事なラストである。このアニメを簡潔に表すなら、「ジョン・シルバーが良い(あえてかっこいいではない)アニメ」ということに尽きると思う。

大橋学氏によるOP映像も素晴らしい。羽田健太郎作曲の勇ましい楽曲に合わせて描かれる、イマジネーションに溢れたアニメーションは、冒険心を駆り立てられるよう。

正直序盤はスロースターター気味なので(ここが丁寧だからこそ冒険の解放感や凱旋時の感動にも繋がってくるのだが!)、主要人物が出揃う6話~7話くらいまでは見てほしいのです。

 

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