脚本:赤尾でこ
絵コンテ・演出:川越一生
冒頭から調子っぱずれな歌声で聞こえてくる唱歌『一年生になったら』。
後に明かされる古見さんの夢「友達100人つくりたい」がここでもう登場しているわけですが、肝心の『♪友達100人できるかな』の部分は鼻歌になっています。古見さんの自信のなさの表れでしょうか。
黒猫の目→古見さんの後頭部へのマッチカット。かっこいい。
只野くんと古見さんの初対面のシーン。
スミアの光が古見さんの心臓部から出ています。緊張が伝わってきますね。
古見さんの筆談シーン。
一脚だけ後ろに引かれた椅子、一本だけ倒れているトンボ等、古見さんの孤独を端的に示す小道具も効いていますね。どれも画面の端に追いやられており、不安感を醸し出しています。
只野くんと筆談を始めた後のカットでは、教室内の床に落ちていた鞄が消えています。些細な心境の変化を語り掛けてくる雄弁な演出です。
チョークの粉の演出。古見さんの涙→桜の花びらのメタファーの転換は本当に驚きでした。クールすぎます。
このアニメ、フェティッシュな作画も多く、上記のカットは背伸びをした時の上履きのたわみが再現されています。作画アニメとしても楽しめます。
原作は序盤を多少読んだくらいで、すごく好みの作品というわけではなかったのですが、作画や演出、レイアウトや撮影も妥協がなく、最高の1話だなと思いました。
制作はOLM。正直キッズアニメの印象(+2000年前後の高橋ナオヒト監督作品)が強かったので、こういったアニメを作ることに驚きでした。
1話の絵コンテ・演出を担当された川越一生監督はお恥ずかしながら存じ上げなかったのですが、『ベイブレード』シリーズで尖った演出をしていると評判な方らしいです。