茶箪笥の奥

メモ置き場

ひとくちアニメ紹介006.あいうら

茶麻の4コマ漫画を原作とした、女子高生3人の日常を描いたショートアニメ。
OP1分→本編約2分→ED1本目30秒→本編約30秒→ED2本目1分30秒・・・というトリッキーな構成。

ストーリーやドラマはほぼなく、平坦な駄話が繰り返されるだけである。会話はとにかくさっぱりとしていて自然体。声優陣の素朴な演技も相まって、変にドラマチックになることもない。

しかし、あいうらはそれでいい。
この作品は、よくわからないことで盛り上がっている登場人物たちを観察するのがメインで、原則客観的視点寄りの演出がされている。*1日常会話が外から見て面白くないのは当然である。
つまらないギャグは作中でもつまらないものとして扱われるし、爆笑が巻き起こるなんてことはない。だからこそ、生の日常会話っぽい空気感になる。

彼女たちの日常の一部を切り取るかのように多用される、定点観測的なカメラワークや、同ポジションのレイアウトは、前述のコンセプトによくマッチした演出である。

よく『太腿アニメ』と評される作品だが、額面通り脚の描写は特にこだわりを感じる。3話の脚を映しての会話劇、7話のベッドで寝ている彩生、11話の彩生が靴下を脱ぐカットなど、妙に色っぽいシーンは挙げるときりがない。しかし、それもあくまで自然な色気の範疇で、押し付けてくることはない。この塩梅が絶妙だ。

この作品は一貫して客観的な視点で描かれているが、唯一最終話である12話は少しだけ感情が表出する。ED『ずっとね』をバックに、1話の対比のような演出がなされる。1話と比べ撮影処理がたくさん乗っている画面には、季節の流れを感じさせられる。
12話の「すっごく面白くないこと思いついた」「明日で良いです」「じゃあまた明日ね」という会話には、この作品の全てが詰まっていると思う。エモーショナル。

ニコニコ動画で4話まで無料配信されています。
実はサブスクでの無料配信はないらしい……。www.nicovideo.jp

*1:この演出方針は、Blu-ray初回版に付属の絵コンテ本で語られている。